『CPUの創りかた』のTD4をブレッドボードで作った話。
今回は書籍『CPUの創りかた』のTD4(とりあえず 動作するだけの 4bitCPU)をブレッドボードで作ってみたので紹介したいと思います。
回路図、動作原理などは本書をご覧いただくとして、今回は製作物の紹介のみとさせていただきます。
今回、4つの制約をつけて製作しました。
1,ブレッドボードのみで作ること。
2,部品は全て秋葉原で現地調達すること。
3,配線をできるだけ美しく。
4,サンプルプログラムの動作と命令デコーダーの確認が取れ次第完成。
…だったのですが、自分の作ったクロック回路では74HC161の4ビットバイナリカウンタの値が飛び飛びになってしまい正常な動作ができず。
原因不明のまま、クロックはファンクションジェネレーターの矩形波に頼らせていただきました…。残念です。
また、電源には直流安定化電源を使用しています。
ということで完成したものがこちら。
回路配置
主な回路の配置です。
名前は「TD4 on Bread Board ver.2.30」としました。
そのまんまです。ver.の値は適当です。
動作
サンプルプログラム1LEDちかちかの動作中の動画です。
10Hzで動作しています。CPU中央下の黄緑のLED4つが出力となっていて、ウェーブしているのが確認できると思います。
【CPUの創りかた】TD4 on Bread Board LEDチカチカ【4bitCPU】
サンプルプログラム2ラーメンタイマーの動作中の動画です。
0:20から3:00までは8倍速をしています。
本書に書いてある通り、1Hzで195クロック、3分15秒タイマーとなっており、ぴったりブザーがなっています。
【CPUの創りかた】TD4 on bread board ラーメンタイマー【4bitCPU】
その他の命令デコーダに関しても、しっかりと全て確認が取れました。
配線について
制約「3,配線をできるだけを美しく」を一応は心がけたつもりです。
ですがCPUの方のインターフェイス用のLEDなどはすべて柔らかいジャンパーワイヤーを用いてしまい、最終的にゴチャゴチャになってしまいました。
全体図
ROMの配線
クロック回路(使えませんでしたが…)・リセット回路・CPUの配線
↑の柔らかいジャンパーワイヤーを取り除いたもの
ブザー回路
クロック・リセット回路
コマンドデコーダー
入力・出力・データセレクト・ABレジスタ・加算器・プログラムカウンタ
ROMの柔らかいジャンパーワイヤーを取り除いたもの
アドレスデコーダー
電源回路
解体後
部品について
制約「2,部品は全て秋葉原で現地調達すること」は一部互換品もありますが『CPUの創りかた』初版2003年から15年経った今でもしっかりと達成できました。
以下、部品表ですが、細かい型番などは省略させていただきます。
総額ですが、1万5000円ぐらいはかかったと思います。
TD4 on Bread Board ver.2.30 部品表
1kΩ1/2W 4インチ幅 38個
1kΩ1/2W 5インチ幅 15個
33kΩ1/2W 4インチ幅 1個
3.3kΩ1/2W 4インチ幅 1個
100kΩ1/2W 4インチ幅 4個
10kΩ1/2W 4インチ幅 1個
集合抵抗 10kΩ 8素子9ピン 1個
集合抵抗 1kΩ 4素子5ピン 1個
積層セラミックコンデンサ 0.1μF 1個
積層セラミックコンデンサ 0.33μF 1個
電解コンデンサ 100μF 16V 1個
電解コンデンサ 10μF 16V 2個
オーディオ用無極性電解コンデンサ 10μF 25V 1個
ダイオードアレー 8素子9ピン 16個
黄色LED 25個
赤色LED 19個
緑色LED 6個
74HC161 4個
74HC283 1個
74HC138 2個
74HC153 2個
74HC540 1個
74HC04 1個
74HC32 1個
74HC10 1個
74HC74 1個
自励式ブザー 1個
DIPスイッチ8 16個
DIPスイッチ4 1個
タクトスイッチ 2個
トグルスイッチ 2個
三端子レギュレータ 5V1A 1個
ヒートシンク 1個
M3ネジ 1本
各ICソケット(IC、DIPスイッチ)
【固いジャンプワイヤ】
茶色 131個
白色 43個
灰色 11個
紫色 45個
青色 13個
緑色 11個
黄色 50個
橙色 85個
赤色 12個
無印 9個
橙長 2個
赤長 2個
【柔らかいジャンパワイヤ】
200mm 16本
100mm 38本
70mm 8本
50mm 18本
バナナプラグ⇄バナナプラグケーブル 2本
クワ型⇄ジャンパーピンケーブル 4本
ブレッドボード 2枚
まとめ
今回、TD4をブレッドボードで作ってみた感想ですが、ブレッドボードでの製作、とても楽でした。
TD4を製作するとなると大半の方がユニバーサル基板、プリント基板かと思われます。
ブレッドボードはハンダ付けが必要ありません。何度でも修正、やり直しができます。
ですがブレッドボードで製作している方はあまり見かけません。恐らく、理由としてはブレッドボードは単なる試作でしかないということ(ブログにまとめるほどのものではない)、配線材料にお金がかかってしまうことなどがあげられると思います。
ですが今回、自分はブレッドボードでの製作かつ配線をできるだけ美しくすることを目標に試作ではなく一つの「作品」として製作してみました。
「CPUの創りかたを読んだ!作ってみたい!けどハンダ付けなんかやったの中学生以来だ…。」そのような方に、この記事を読んでいただいてTD4のブレッドボードでの製作のキッカケになればと思います。
ご覧いただきありがとうございました。